そもそもジムカーナ競技とは?
◆速く、うまくなりたい。ライダーの原初的欲求を満たすジムカーナ
<オートバイを手足のように扱ってみたい> <自分のオートバイがどこまで走れるのか知ってみたい> <せっかくスポーツバイクに乗っているんだから、タイヤを端っこまで使ってみたい> <なんで峠であいつに置いていかれるんだこんちくしょう>
バイクという乗り手の身体依存度の高い乗り物に乗っている以上、誰しも思ったことがある原初的欲求でしょう。それを効率よく実現するために、講習会やライディングスクールにも取り入れられているのが『ジムカーナ』です。
広いアスファルト路面にパイロンを並べて、規定のコースを走行するスタイルは教習所の実技教程や白バイ訓練に似たものに捉えられがちですが、競技ジムカーナはこうしたコースを限界まで攻め込んでタイムアタックするというもの。 一本橋もなければ、波状路もない。1分半~2分ほどのコースをひたすら全開・フルブレーキ・フルバンクで駆け抜ける、スプリント競技です。
……と言うと敷居が高そうですが、ジムカーナ競技は現状あるモータースポーツの中で最も初心者にも手が出しやすい競技と言われています。
その理由が次のようなものです。
1・高価なレーシング装備がなくてもOK!怪我も少ない
非常に転倒率の高い競技ですが、限界で攻める割に速度域が低いために、怪我の少ないモータースポーツです。
これまで20年以上にも及ぶ競技の歴史の中で、競技中の死亡事故は一度もありません。
推奨される装備は、最低限で肘膝のプロテクター(もしくはプロテクター入りパンツ・ジャケット)に、ジェットもしくはフルフェイスヘルメット、グローブにカカトを保護してくれるブーツ。
できれば下半身は膝カップ入りの革パンツとレーシングブーツがお薦めですが、競技レギュレーションで装備に規定はありません。
※詳しくはレギュレーションページを参照してください
2・今公道で乗っているあなたのバイクで、明日から始められるスポーツ
車両に向き不向きはありますが、全くコースを回れないという車両はハンドル切れ角を規制したロードレーサーや、極端なチョッパーぐらいでしょうか。
4ミニでもブロックタイヤのオフ車でもメガスポーツでも、なんだってOK。
最高速とは全く別次元の「ライダー依存型」の競技なので、4スト100ccでリッタースポーツを蹴散らすことだって可能です。
◆競技ジムカーナの評価・認定
ジムカーナ競技は、当日発表されるコースを2回走って、トップタイムを出した選手のタイムを基準にして評価されます。
コース上で他の選手と競るのではなく、走行は自分独りです。
認定団体のJAGEでは、トップタイムが100秒だったとして、105%=105秒未満の成績を残した選手をB級シード、110秒未満をC1シード、115秒未満をC2シードに認定し、次戦からはそれぞれのシードクラスで走行するシステムです。
B級からA級への昇格は、シリーズ戦の年間ポイント数等で判断されますが、一度昇格した選手に降格制度はありません。
要するに認定戦で115%を一度でも切ればシード選手の仲間入りということで、そこに至らない選手がN(ノービス)と言われます。
関東事務茶屋杯でもJAGEのシステムに準拠した上で、独自のシード認定『D級』を採用しています。
毎回違うコースでの競技ではトップタイムに上下があるのではないかという声もありますが、A級のトップ選手はどんなコース、どんなコンディションでも、毎回スーパータイムを叩き出し、上位の変動もあまりありません。
これがまた、ジムカーナ競技の奥深いところです。
◆D級認定ってどの程度?
初めてジムカーナ競技に参戦される方は、AやBシードの走りを見て度肝を抜かれるかもしれませんが、それは当たり前です。
ジムカーナ競技はロードレース等と違って、エリア選手権・全国戦・モトGPといったピラミッド構造はなく、特にレベルが高いと言われる関東のJAGE認定A級選手は、言わば「全日本トップ」そのものです。
ですが、ではその全日本トップとのタイム比で115%、120%とはどんなレベルなのか?
公道の一般ライダーと比較した場合、130%を切れていれば相当なベテランです。
事務茶屋D級の120%であれば、そこらの峠ではほとんどブッチギリでしょう。
115%は手に負えないレベルのベテランライダーです。
ジムカーナを始めると、「120%程度」と卑屈な気持ちになる方もいますが、120%はライダーとして堂々誇ってよいレベルです。
なので、まずは目指せD認定。
事務茶屋Dシードのステッカーは、ライダーのプライドです。
サーキットの走行会、ライディングスクール、安全運転講習会から峠まで、様々なステージで腕を磨いている方々にも、是非「腕試し」「効果測定」の気持ちで参戦してほしいところです。